柔道整復療養費2,867億円を約5万か所で分ける:接骨院が自費を考えざるを得ない数字
接骨院の経営で「自費」という言葉が出るとき、多くは「保険が厳しくなったから仕方なく」という文脈です。しかし数字を見ると、自費は逃げではなく、構造から導かれる設計の問題です。この記事では、厚生労働省の数字で構造を確認します。
療養費の総額と施術所数
| 指標 | 数字 | 年 |
|---|---|---|
| 柔道整復療養費(総額) | 2,867億円 | 令和3年度 |
| 柔道整復施術所数 | 50,919か所 | 令和4年 |
| 就業柔道整復師 | 78,827人 | 令和4年 |
| 受領委任を扱う施術所 | 4万7,000か所弱 | 令和5年時点の資料 |
出典は厚生労働省の療養費検討専門委員会の資料と、衛生行政報告例です(出典1・2)。
総額2,867億円を約5万か所で単純に割ると、1院あたり約570万円です。これは平均であり、地域や規模で大きく違います。しかし「平均の1院が療養費だけで得られる額」の目安にはなります。
1院あたりの療養費は減り続けている
療養費の総額は平成24年度から減少傾向にあり(出典3)、一方で施術所数は増え続けてきました(令和4年も前回比+1.1%、出典2)。分子が減り、分母が増えれば、1院あたりは減ります。2010年には1院あたり1,000万円を超えていた療養費収入が、その後減少を続けている、という整理もあります(出典3)。
令和3年度は総額が前年度比+1.3%と、久しぶりに増えました(出典1)。しかし施術所数の増加と合わせると、1院あたりの傾向が反転したとは言えません。
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LINEで無料動画を受け取るセミナーの日程を見るこの数字が意味すること
- 療養費だけで院を維持する前提は、平均的な院では成り立ちにくくなっている
- 施術所は増え続けている。 同じ地域で療養費を取り合う相手が増えている
- 自費は「追加の売上」ではなく「収入の決まり方を変える設計」。療養費は制度が単価を決めるが、自費は患者が払う価値で決まる
ここで大事なのは、自費に移ること自体が目的ではない、という点です。自費は、患者が「この院に、この金額を払う」と決めなければ成り立ちません。制度が守ってくれない分、評価と説明の質が直接売上になります。
自費移行を「設計」として考える順番
自費メニューを作るとき、手技の名前から始めると失敗します。順番は次の通りです。
- 評価:患者の痛みを「どの範囲で、なぜ出るか」まで分けられるか
- 説明:「なぜそこを触るのか」を、患者が納得する3文で言えるか
- 価格:評価と説明の時間を含めて、1回の施術時間と価格を決める
評価と説明ができていない状態で価格を上げると、患者は離れます。できていれば、価格は後からついてきます。
療養費の請求については書かない
このサイトでは、療養費の請求要件や「保険が使えるかどうか」の判断は書きません。制度の解釈は、所管の資料と専門家に確認してください。ここで扱うのは、自費の中身をどう作るか、です。
まとめ
- 柔道整復療養費は令和3年度で2,867億円、施術所は約5万か所。単純平均で1院約570万円
- 療養費総額は平成24年度から減少傾向、施術所数は増加。1院あたりは減り続けている
- 自費は逃げではなく、収入の決まり方を「制度」から「患者が払う価値」に変える設計
- 設計の順番は、評価→説明→価格。手技名からは始めない
次の記事では、「なぜそこを触るのか」を患者に説明する3文の型を、自費メニューの中身として整理します。
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LINEで無料動画を受け取るセミナーの日程を見る- 柔道整復療養費 令和3年度 2,867億円(対前年度比+1.3%)、施術所数 約5万か所、受領委任施術所 4万7,000か所弱:厚生労働省「柔道整復療養費の令和6年改定の基本的考え方(案)について」(第27回柔道整復療養費検討専門委員会)の報道 https://www.jusei-news.com/topics/4406/
- 柔道整復施術所 50,919か所(令和4年、前回比+1.1%)、就業柔道整復師 78,827人(+4.0%):厚生労働省「令和4年衛生行政報告例(就業医療関係者)」の整理 https://keieichiryou.com/あはき資格者数と施術所数2022
- 柔道整復療養費は平成24年度から減少傾向、接骨院1院あたりの療養費収入は2010年に1,000万円超からその後減少:ミネルバ税理士法人の整理 https://tokyo-smile-shugi.jp/article/staff/3056/